伊勝の家
2018.7
文教地区に指定されている閑静な住宅地に建つガレージ付きのコートハウスである。
杉板打ち放しのコンクリートの壁を敷地の間口いっぱいに配置することで、伸びやかさと重厚感を兼ね備えたファサードを作り上げた。アプローチ空間を形作るフロストガラスの壁面は、外観に精緻な印象を与えるとともに、街の様子を優しく内部へと伝える干渉装置の役割も兼ね備え、また夜の帳が下りる頃にはフロストガラスを透過した照明の柔らかな光で辺りを照らす行灯の様なデザインとなっている。
門扉を潜った先のアプローチでは常緑ヤマボウシが出迎えてくれる。杉板打ち放しのコンクリート、ベイスギ張りの軒天がエントランスへと導く効果をもたらしている。
アプローチから続くベイスギの天井とウォルナットの床材が奥行きを強調するエントランスホールは、やや厚目の階段板や鉄骨と相まって重厚感を感じさせる空間に仕上がった。 ベイスギの天井板は更にLDKまで来訪者を誘う様に伸びる。そして視線は中庭へと一気に導かれ、明るく広々とした家族のための空間がドラマチックに展開する。
またベイスギ天井の端部にコーブ照明を仕込んで白い天井を照らし出すことで数値以上の天井高を感じさせ、より大きな開放感を生み出している。
中庭には磁器質タイルで仕上げたテラスを設けることで室内外の連続性を高め、家族のための半屋外空間を生み出した。
洗面所は壁を伝い落ちてくる自然光に溢れた光庭に面しており、朝の身支度を気分良く済ませることが出来る。また浴室には坪庭を配置した。地面を高くすることでバスタブを地面に埋めたような効果を得て、イロハモミジを見上げる露天風呂の様なバスルームに仕上がった。
外部からは屋内の様子が窺い知ることができないコートハウスの特性を活かし、意外性のある空間の展開が特徴的な住まいが完成した。