豊橋の家

2010.7

この家はゆったりとした区割りの閑静な住宅街に建つ。周囲にはごく一般的なデザインの住宅が建ち並び、単調で似た様な景色が続いている。
そのような街区にあって、この住宅の濃いメタリックグレーと白色のキューブを用いた単純な幾何学による構成は、凛とした存在感を醸し出している。その一方で、建物を幾つかのキューブに分節することによって、周囲のスケール感との調和も図っている。

リビングとダイニングは一繋がりの空間でありながら、その接続部を僅かにずらして独立性を与えている。また和室や主寝室、書斎等は、中庭越しにゆるやかな関係性を保っている。これらの空間的操作によって、家族がそれぞれの個人的な時間や空間を持ちつつ、お互いの存在を感じる事が出来るようになっている。

このような関係性は、家のウチとソトとの間にも成立している。各部屋の窓は中庭に面しているか、外壁の窪んだ場所に設けてあるので、近隣からの視線を遮りつつ住まいの中からは外部の様子を伺うことができる。街の様子は中庭を通して間接的に内部に伝わり、家の雰囲気は中庭を介して街へと滲み出してゆく。海岸線のように入り組んだ外壁は入り江のような庭を形作り、外海に見立てた街区から優しくこの家を守っている。

クルマ好きなご主人の為に、ガレージの愛車を書斎やダイニング、主寝室から眺めることができるようにレイアウト。中庭と一体化したガレージは、最高のディスプレイともなる。
また料理好きな奥様の為には、大きめのキッチンとパントリーを用意した。パントリーには、パン作りに必要なオーブンや発酵器が並び、家事の流れに配慮しコンパクトにまとめた水廻りは、使い勝手の良い家事動線を生み出している。
2階のユーティリティーからは、プロジェクターを使って吹抜けの壁に映像を映す事ができるようになっている。お気に入りの映画を映せばそこはシアタールームに早変わり。寛ぎの時間が始まる。

ゆるやかに街と繋がった内部空間に身を置きつつ、光や風など美しい自然の変化を素肌で感じる事ができるような、ゆったりとした時間が流れる住まいとなっている。

所在地:愛知県豊橋市
主要用途:専用住宅
設計監理:architect6建築事務所
施工:株式会社ヤマシタ工務店
設計期間:2009年1月〜2009年10月
工事期間:2009年12月〜2010年7月

構造:在来木造2階建て
敷地面積:513.71㎡ (155.40坪)
建築面積:204.56㎡ (61.89坪)
延床面積:239.62㎡ (72.49坪)

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